神様なんていない。
それはずいぶん前から私に言い聞かせてきたことだ。
いま考えてみたらそれはとても自己中心的な考えで・・・。
でも、そのおかげで私は生きてこれた気がする。
でも、これからは・・・・・・・・・・・
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しるし-第2章-
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ちゅん・・・・ちゅん・・・・
カーテンの隙間からこぼれる光で目が覚めた。
いつもより30分早く目が覚めてしまったようだ。
私はぼーっとする頭で目覚まし時計を確認すると、
体を起こした。
ぐにぃっ
手がなにかを踏んだ。
ん・・・?
硬いようなやわらかいような・・・・
目をそこに向ければそれは手だった。
「・・・・・・・・。」
昨日拾った青年・久音が上半身をベッドに乗せてぐったりと寝ていた。
まぁ、いいか。
結局昨日はあの電柱を確かめることができなかったけど、
今日ならできるかも・・・。
制服に着替えてエプロンをつけながらそんなことを呆然と考えた。
さて、今日も学校だ。
朝ごはんとお弁当のしたくをしながら
今日の予定を考える。
これがいつもの習慣だった。
ある程度ご飯ができあがったので、久音を起こしに行こうと菜ばしを置く。
ピンポーン。
チャイムが鳴った。
こんな朝早くにいったい誰だろう・・・?
ピンポーン。
「はいはいーっ今いきますよー。」
エプロンを急いではずして玄関に急ぐ。
「だめだ、リン!開けては―――――――」
「え?」
ドアノブに手をかけ、まわしたときに
久音は慌てた声で私にそういった。
ドアを開けたそこには、ちょっと大柄の強面で、
黒いスーツを身にまとったおじさんが二人いた。
「ど、どちら様でしょう?」
恐る恐る聞いてみると、
男の一人がスーツから手帳を取り出した。
もちろんそれは警察手帳だ。
「け、警察?警察の方がいったい・・・・?」
特に何も悪いことなどしていない。
両親のことだって私にいまさら聞いたところで仕方ないはずだ。
かといってこのあたりで事件なんて起きていないし・・・
「神無月鈴さんですね?署までご同行願いたい。」
「え・・・私なにも・・・・」
昨日は学校から帰っただけで、なにもしていない。
ただ、久音を拾っただけだ。
特にやましい事なんてなにもない!
そう思って反論しようとしたとき
いきなり後ろから突風が吹いた。
「えっ・・・!?」
突風は軽々と男二人を押し倒す。
でも、なぜか私には風が吹き付けなかった。
「えっ、えっ!?」
なにがなんだかわからず、
倒れた男たちを起こそうと近づこうとした時・・・
久音が私の腰をぐっと腕で引き寄せて抱え込んだ。
「えっ!?な、なに!?」
もう、さっきから「え」しか言ってない気がする。
本当にいきなりの展開の速さに私のぼけた脳みそはまったくついていけてない。
むしろスタートダッシュから出遅れているようなものだ。
久音は何も言わず、私を抱えたまま階段をのぼりじめる。
「おまえは・・・!まて!!」
久音の後ろ姿をみたのか、刑事さんは二人
起き上がりながらそう声を荒立てた。
あぁ、ドアの鍵が~
あけっぱなしだよ・・・。
久音に抱きかかえられながら、私はその背中ごしに自分の部屋のドアを見て思った。
このマンションは屋上がある。
シーツとか干せるようになっているし、
住民たちのいいコミュニケーションの場として利用されている。
まだ干されて間もないシーツがパタパタと風になびく。
久音は屋上の出入り口から一番離れた柵のところでようやく私を降ろした。
「久音?」
どうしたの・・・?
そう聞こうとしたとき、屋上のドアが乱暴に開いた。
「ぜぇ・・・もう、にげられ・・・んぞ!」
必死になっておいかけてきたのだろう。
息をぜぇぜぇときらしていた。
そういえば、久音は息がきれてないな・・・
案外運動神経が抜群みたいだ。
「その娘をこちらに渡しなさい!」
ものすごい剣幕で私たちをにらみつける。
「私たちはその娘に用があるだけだ!」
つまり、私さえそっちにいけば手は出さないってことかな・・・?
まぁ、無実なんだし逃げることはないよね?
私は刑事さんの所へ足を踏み出そうとすると、ぐっと手を久音につかまれて
引き止められた。
「だめ。」
そういうと私をまた引き寄せて抱え込んだ。
「リン。しっかり、つかまって?」
「え・・・あ・・・うん。」
首に手を回してしっかりとつかまる。
・・・っていうか、刑事さんのところに私いけばそれですむんじゃ・・・?
そうおもったけど、
なぜか体は動かなかった。
うん、心のどこかで、警報がなっていたのだ。
いってはだめだ・・・と。
すると久音は軽々とフェンスを乗り越え、一気にジャンプした。
「息、止めて。目・・・閉じて。」
そ、そんなこと急にいわれても無理に決まってるじゃない!
「きゃああああああああああああぁああぁぁあぁぁあぁ!!!!!」
絶叫マシンにがてなのーっ!
もうむりーっ!
15階立てのマンションの屋上から飛び降りる。
もう、死ねる。
もう、死んだ。
私は怖くて怖くて、心臓が口から飛び出そうで、
それくらい大声で叫んでいた。
朝、8時半過ぎに私の叫びが迷惑なほど街に響く。
「リン、黙って。」
「いやあああああっ!むりだよおおおっ!!」
むりむりむりむり!
叫びながら必死で返事を返す。
そんな一言の返事ですら叫びになってしまう。
「きゃああああ――――んっ!?」
いきなり何か暖かいものが口を覆った。
ずっと目を閉じていた私はなんだとおもって目をひらけば、
そこには久音のきれいな顔があった。
人生初のキスを
まさかこんな形で奪われるなんて・・・・
誰が想像しただろうか??